40歳未経験の男性に介護業界への転職をおすすめする3つの理由

40歳未経験の男性に介護業界への転職をおすすめする3つの理由

職業人生の半ばを過ぎた40代の男性が、転職を決意するのは並大抵のことではありません。普通なら、前職の経験が生きるような仕事を探すことでしょう。にもかかわらず、あえて未経験の介護業界への転職をおすすめするのには、3つの理由があります。

1 介護の仕事は安定している

第一の理由は安定性です。介護業界は超がつくほど安定しています。

2040年まで高齢者の人口は増え続けてゆくのはご存知かと思います。日本の人口はすでに減少局面に入っていますが、高齢者だけはまだまだ増えてゆく。介護保険の利用者数は高齢者人口にほぼ比例するので、介護保険業界の規模もだいたい同じペースで拡大してゆくことが予想されます。日本の数少ない成長産業のうち、その成長が確実視できるのは、介護保険業界ぐらいではないでしょうか。40代の方ならば、2040年までの20年余り、つまり定年退職するまでは安泰というわけです。

もっとも、業界は拡大するものの転職先が順調に成長してゆくとは限りません。後に述べるように、この先介護業界は淘汰の時代を迎え、身売りをしたり廃業したりする事業所が増えてゆくはずですから。そうすると、せっかく就職した事業所がつぶれてしまい、さらに転職を余儀なくされることもあるかもしれない。ですが、幸か不幸か介護業界は職務給がかなり普及しています。年功序列型の賃金は期待できない反面、介護員ならばおよそどの会社でも似たような給料になっています。その結果、転職しても賃金が激減することはなく、また求人も旺盛なので、業界内の転職はとても容易になっています。ステップアップのために積極的に転職をする方もけっこういて、まるでアメリカみたいだなあと思うこともしばしばです。年功序列型の賃金制度に逆戻りすることは考えにくいですから、転職した後も、勤務先の倒産はそんなに恐れる必要はないのではないでしょうか。

2 空前の売り手市場

好調な経済と労働人口の減少の影響で、完全雇用がほぼ実現しており、日本のさまざまな産業では人手不足が発生しています。その中でも空前の売り手市場となっているのが介護業界。2025年には介護労働者が38万人も不足すると言われており、すでに特別養護老人ホームでは人手不足のため満床にすることができず、その結果倒産するところも出てきています。70歳を超えた職員にまで、お願いしてなんとか働いてもらっているところもあるようです。ですので、男性の未経験者だって当然ながらウェルカム。

でも、この先深刻になるのは「人材不足」。とりわけ、施設長・管理者といったマネジメントスタッフの不足が目立ってきています。ここにこそ、異業種の経験のある40代が活躍する余地があるのです。

「いやいや、介護に役立つ仕事なんかしたことないよ」と思う方もいるでしょう。ですが、前職ではまるで息をするように自然に使っていたビジネススキルが、この業界では本当に重宝されます。実際に転職してみると、「えっ、こんなことが有難がられるの?」と、びっくりすることでしょう。

それというのも、マネジメントスタッフの多くが、もとは介護スタッフだったからです。なり手がいないので、頼みこまれたあげく長年務めた介護員が施設長に就いたりしている。もともと介護がしたくて入社したのだから、管理業務なんて苦手だし、パソコンだって触りたくない。そんな方がいやいやながらマネジメントをやっているのが現状です。たとえば、現場では、サービス面や人事面、設備の面などで実にこまごまとした課題が発生します。そういった課題が発生するたびに、管理者自身が右往左往してしまって、その場しのぎの解決に飛びついたり、ひどいときには課題を漫然と放置してしまって、何度も同じトラブルが発生したりすることも見受けられます。

それでも何とかなってきたのは、介護が成長途上のまだ若い業界で、他社との厳しい競争にさらされたことがあまりなかったからでしょう。ある程度いいかげんにやっていてもつぶれなかった。でも、これからは違います。競争が激化する中で生き残ってゆくために、優秀な管理者がどの事業所も喉から手が出るくらい欲しいのです。そして、その誰もやりたがらないマネジメント業務、前職のスキルを持ったあなたが強く望むのなら、驚くほど速くそのポジションに就くことができるはずです。管理者になるには特別な資格はいりません。

3 将来性

先ほど、介護業界は淘汰の時代を迎えるといいました。業界全体は拡大するけれども、合理化が推進できない事業所は生き残って行けなくなるでしょう。

医療と同じく、介護保険も売価(サービスの対価)を自分で勝手に決めることは許されていません。介護保険の報酬単価を定めるのは国だからです。そして、社会保障費の増大を抑制するために、この先単価が切り下げられてゆくのは、ほぼ既定路線です。一方で、人手不足が深刻化してゆくにつれ、事業所間で介護スタッフの奪い合いが生じ、賃上げの圧力が増大してゆきます。つまり、収入は減少するものの、支出が増加することで利益が圧縮されてゆく。その厳しくなる環境に耐えられるのは、経営の合理化・効率化を図ることのできた事業所だけということになります。ダメな事業所は、ツブれるか優良な事業所に吸収されてゆきます。

そのダメな事業所を拾い上げること、これが転職をおすすめする3つ目の理由です。あなたが無事に定年退職を迎えたとき、ダメな介護保険事業所をM&Aで買い取ることをおすすめしたい。現時点でも多くの事業所が売りに出されていますが、2040年頃にはその数はさらに増加していると思われます。その事業所を購入し、これまでの経験と知識を生かして、オーナーとして経営してゆくこと。定年後に再雇用で会社にしがみつくのではなく、経営者として独立を目指す。そんな選択肢が、比較的容易に思い描けるのではないでしょうか。もっとも、たとえばデイサービス事業所の買い取りには少なくとも1000万円ぐらいは必要ですので、決して簡単なことではありませんが。

職場の人間関係に気を付けよう

もちろん、介護保険業界への転職はバラ色なことばかりではありません。当然ながら覚悟しておくべき事柄があります。たとえば、職場の人間関係です。育児や介護といった理由を除けば、介護の仕事を退職した人の理由のトップがこの「人間関係」なのです。女性の多い職場特有の陰湿さがあると思っていた方がいい。ここをうまく乗り切らなければ、そのあとのプラン、管理者になり経営に携わり、ゆくゆくは独立することがかなわなくなってしまいます。このプレーヤーの時期は、2~3年の短期間で乗り切るにしても、なんとか上手く乗り切る必要があります。 ではどうすればいいのでしょうか。3点ほどアドバイスがあります。

1 プライドを捨てる

まず、第一にプライドを捨てること。前職のスキルは大切ですが、それを前に出さないことが大切です。敬遠される仕事を率先して引き受け、仕事から逃げない姿勢を見せましょう。40歳を過ぎてもう一度一年生からやり直せるか、きっとここが正念場となります。その姿勢は、誰もがそっと、しかしすごく関心をもって見ています。

2 質問をする

第二に、とにかく質問すること。わからないことは放置しないことです。介護の現場は合理化が大きく立ち遅れていますが、それは教育面でも同様です。教育制度は、あってなきがごとしかもしれません。だからといって、受け身でいては大事な場面でミスをしてしまいます。だから、わからない点は尻込みせず積極的に訊くことが大切なのです。もちろん、しつこい奴と思われないように、タイミングと相手を選ぶ必要はありますが。

3 同僚は客だと考える

最後に、同僚もまたサービスの対象なのだと考えること。他のスタッフが働きやすいように配慮することが、当面の間自分の仕事なのだと心得ることが重要です。その姿勢は、他のスタッフに支えられている一年生のうちから示しておくべきです。実は、こういったことができていなくて職場から孤立してしまう人材が驚くほど多い。逆に言えば、ここに注力すれば、少々仕事が拙くてもなんとかなってしまいます。

以上のような点を心がけていれば、わずか数カ月で事業所内の高い評価を得て、仲間として認められるに違いありません。そうすれば、あなたのスキルは正しく評価され、不可欠な人材と認められてゆきます。管理者に押されるのは、そう遠くない将来となるでしょう。

介護の現場は、40代未経験の男性をきっと待っています。頑張って一歩を踏み出してみてください。