いつかまた会いたい、名前も知らない占い師さん

いつかまた会いたい、名前も知らない占い師さん

こんな事ってあるんだと、今でも思い出す占い師さんがいます。占い師さんというか、当事その人はまだ見習い中だと言っていました。その時、私は当事付き合っていた彼氏と待ち合わせをしていて、オープンしたばかりのカフェに行こうとしていました。ところがものすごい行列が出来ていて、仕方なく昔からある小さな喫茶店で時間を潰す事になったんです。店に入ってしばらくすると、若い女性に声を掛けられました。おそらく二十歳過ぎたばかりらしいその女性は、占い師になる為に勉強をしているので、手相を見せてください。と、言ってきました。もちろん、見習いなのでお金はいらないと言われた私は、正直、彼女をアヤシイと思いました。たまたまテレビでそういう詐欺紛いの事をしている人がいると聞いていたので、私は正直断りたかったんですが、彼氏の方が面白そうだという事で、見てもらう事になりました。まぁ、もしも詐欺まがいな話だったら警察に連絡すれば良いと思って、彼女の占いを受ける事にしました。

手相を見てもらうのは初めてだったのですが、その女性は丁寧に説明してくれて、私と彼氏に左手を出すように言いました。半信半疑ながらもやっぱり気になるので、彼女の話を待ちました。その時に、何が一番知りたいかと聞かれて、私は彼氏との相性を尋ねたのです。付き合うようになってから、もう3年近くになるというのに、なかなかプロポーズする気配すらない彼氏に、正直な所イライラしていたんです。見習い占い師さんによると相性自体は悪くはありませんでした。ずっと良いパートナーになる可能性もあると言ってもらえて嬉しかったのですが、しばらくすると彼女はジッと彼氏の顔を見て、何か言いたそうな顔をしました。私にはそれがちょっと気になったのですが、尋ねる勇気はありませんでした。それからは当たり障りのないような話が続き、彼女の鑑定は終わりました。

結婚運がかなり短い私の場合、結婚する時期が遅いか、はたまた結婚する意志が弱いかと言われました。正直、ドキンッとしました。周りの友人達が結婚して、私も早く結婚したいとは言っていたのですが、本気で結婚したいかと問われれば、かなり困ったと思います。正直、結婚した友人達の話を聞いていると、かなり苦労しているみたいで、理想と現実を見てしまったかのような感じでした。結婚したいけど、気が進まないという私の本音を見破られてしまったかのような心境でした。それから、彼氏が仕事をかえたばかりだというのも当てられてしまって、私はますますさっきの微妙な表情が気になってしまいました。なので、思いきって尋ねたんです。さっき、何かを言おうとしなかったか、と。

彼女は少しだけ間を置くと、彼氏に対していくつかの質問をしました。そして、本命は私ではないと。え?本命?私が唖然としていると、いきなり彼氏が席を立ち、店を出ようとするのです。そのあからさまな態度に、さすがに私だって分かります。占ってくれた女性にお礼を言って慌てて彼氏の後を追い掛けると、既にお金を払って店から出て行ってしまったのです。これは絶対に何かを隠していると思った私は、彼氏を追求しました。すると、なんと本命の女の子がいるというんです。どうやらその女の子にフラれた事で私と交際しようと思ったそうです。信じられませんでした。おまけに今でもその人が忘れられない。と、言われたらもう別れるしかありませんでした。

それにしても、あの占ってくれた女性は誰だったのか。ちゃんと名前を聞いておけば良かったと後悔しました。あの時、彼氏が店を出なかったらもう少し詳しく話が聞けたのにと思うと、残念でなりません。最初に詐欺かも、なんて疑ってしまって申し訳なかったと思います。かなり昔の事なので、もしかしたらものすごい占い師さんになっているかもしれないと思うのですが、名前も忘れてしまったし、顔も大体という感じで、ハッキリ思い出せないんです。きっと、立派な占い師さんになろうとしている人はきっとこういう風にいろいろな人の手相を見たりして勉強しているんでしょうね。もし、もう一度あの時の占い師さんに会えたとしたら、もう少し詳しく聞いてみたかったです。

その後、友人から聞いた話では、元カレは本命だった女性に告白してフラれたそうです。もし、あの時私が追求しなかったら、あのまま結婚していたのかな。とか、いろいろ思ってしまいました。

でも、元彼の本心をズバリ見抜いたその見習い占い師さんは、本当に凄かったな。と、今でも時々思い出す事があります。今でも占いそのものを全て信じている訳ではないのですが、彼女のように確かな占い師さんもいるんだということは分かりました。でも、なんだか前回のように本当の事を言われてもショックなので、出来るだけ彼氏が出来た時には占いの舘などに行く事は避けるようにしています。だって、知りたいような気もしますが、知るのも怖いのです。